疑惑の本質を見落とすな! 市長と議会の責任は重い
新庁舎・こどもプラザ建設工事に係る「随時監査結果報告提出」
監査委員による「新庁舎及び(仮称)こどもプラザ建設事業の事務の執行について」の随時監査結果報告書が、議会に報告(全員協議会で説明)されました。その報告書は、北本市のホームページにも掲載される予定です。
平成21年からの新庁舎建設計画から事業執行、完成までの6年間、石津賢治前市長のワンマン市政運営の中で、きわめて疑惑の多い、不適切な事業執行の核心部分が明らかになりました。
まさに、監査委員の意見にあるように、「法の定める監査委員制度で、不自然、かつ不透明な事務処理を確認しても、だれがどのような理由で指示したか、その意図を解明することはできない」というのはそのとおりです。
したがって、「市長及び市議会は、双方の責任において“疑惑の解明”と“再発防止”を講ずるよう期待する」と記述されてたのは当然のことです。
特に現任の現王園市長は、予算の執行権者、事務組織の最高責任者として、率先して疑惑の解明にあたってもらわなければならないと、我々は強く認識しています。
新庁舎建設は疑惑山積!
我々は、報告書を読み込みました。そして今後、市長及び市議会が検証すべきことを、以下のように結論付けました。
1.新庁舎とこどもプラザの基本設計(建築物の概要)及び実施設計(建築に向けた具体的な設計)が、なぜ別々に発注されたのか。
監査委員は、一括で発注した方が、設計委託費が安くなり経済合理性を得ることできたと指摘しています。
2.発注の仕方もおかしい。成果物が違う。基本設計が完成しないのに実施設計の委託がされている。しかも、実施設計の完成検査で、設計業者が提出した完成品には、北本市の庁舎とは違う「江東区立豊洲西小学校新築工事」の設計書がつづられていたと、報告しています。
完成検査の時には、新庁舎もこどもプラザも実施設計は完成していなかったということでしょうか。これで委託料が支払われていたとしたら、「虚偽の設計書の提出で委託料を支払った」ことになります。騙されたようなものです。
3.成果物はその後納入されたが、監査の実施の時には「紛失」されていた。
森友学園問題の財務省と同じで、公文書の管理のずさんさをどう見るかです。文書管理が極めてずさんです。
設置されない備品に支払
4.建設工事についても、当初契約において、備品等が見送られるなど、庁舎機能が確保されない設計になっています。
設計変更の手続きに関する書類が現存しない。本来事務所として不可欠な造作家具や備品等が「別途工事」となっている。変更設計に係る見積り徴取も1社の随意契約であり、事務手続きに疑問があります。
5.発注支援業務ですが、入札の成否に直結する可能性ある業務を、実施設計作成会社に委託しています。
しかも、業務上知りえた秘密の取り扱いの規定がなく、入札情報の漏洩の可能性を残しています。
6.設計意図伝達と工事監理委託業務も、新庁舎とこどもプラザを分離発注。
一括発注の方が少ない費用になった可能性があったと指摘しています。
7.昨年の12月に、市長が記者会見で発表した、追加工事による造作家具と備品について、「数が足りない」、「形状が違う」、「材質が異なる」と大問題になったことについて、「間仕切りを変更したことで金額の減額がなされたが、その金額が調整されていない」、「児童館の洗面化粧台キャビネットの設置が見送られたのに、その金額が調整されていない」など、公金が不当に支払われた可能性があります。
事実なら返金を求めるべきです。
入札前に落札減を当て込む不可解さ
入札前に「落札減が約3億円ぐらい出る。それを活用して計画から除いた備品や防災倉庫を整備すればいい」と発言(議事録より)しています。
監査委員報告でも、落札減という不確定な財源を見込んだ、備品等の「別途工事計画」は不自然であり、財源確定されない実施計画はありえないと。出来レースと言われかねない不可解なことです。
市長と議会は疑惑の解明と再発防止に取り組め
まさに「問題山積」の状況です。
監査委員に指摘されるまでもなく、市民に選ばれた市長と我々議会議員は、この疑惑の解明と再発防止に積極的に取り組み、適切な処理をしなければならないと意を強くしています。
このような事務取扱は、担当職員の一存ではできません。当時の最高責任者の判断があってのことだと思います。この責任を明らかにする必要があります。
3月議会で、「市長が率先して解明をすべきと求めた請願」が否決されていますが、監査委員の報告を正面から受け止め、議会とともに真相究明に取組んでいただきたいのものです。
(文/日高英城)
特集: 2つの老いの「マンション」の課題
急速に進む限界マンション
北本市内のマンションは、26団地(3,186戸)で築40年以下です。
しかし、全国的には築40年以上の老朽化か進んでいるケースが増えています。今マンションが抱える共通の課題は、施設の老朽化と居住者の老齢化が同時に進行する、いわゆる2つの老いによる「限界マンション」です。
このことは、世帯収入の減少、管理費の滞納、管理組合役員の高齢化、孤独死、建物のメンテナンスや建替えの問題、相続放棄などさまざまな問題がまとめて襲って来ます。
北本市に暮らす1割以上の市民が「2つの老い」に襲われる可能性があります。
その前に、行政が管理状況を把握し助言や指導ができるように、「マンション管理推進条例」等検討すべきではと、我々工藤と日高の二人の議員は提言しています。
市にマンション条例を求める
市は、マンション管理推進条例は、管理状況等を自治体が一定程度把握できるが、本市と都心部ではマンションの状況が異なるため、引き続き市内のマンションの管理状況の調査、県内や近隣自治体の動向を注意していきますと、答弁しています。
今後も引き続き、条例の制定に向け取り組んでいきます。
さて、我々工藤と日高は、1月27日に「限界マンションの予防策と自治体施策化」という研修会に参加しました。毎日新聞社会部記者による「連載:マンション漂流」から見えた限界マンションの実態は、衝撃的であり、深刻であり、憂鬱なものでした。
管理不全マンションへの対策は
今、全国的に高齢化と人口減少により、「空き家問題」が深刻になっています。
国も法律を制定し、自治体も条例化の動きが加速しています。空き家の問題は一戸建てだけでなく、マンションにも及んでいます。
大阪市のマンションでは、大規模なマンションに併設された機械式駐車場に空きが増え、居住者管理に困っています。背景は高齢化の進行での車離れです。利用料収入が減り、維持ができないケースも出ています。
また、管理不全マンションが急増しています。全国の49自治体で「組合なし」が671棟。マンションの治安や防災・減災上に懸念が出ています。
居住者の意識改革は不可欠
豊島区は、高齢化で管理組合が無くなるマンションが現れ、区はマンション管理条例を整備して、管理を支援しています。
今後、本市のマンションも高齢化が進み、良好なマンションの生活環境を維持させるために、管理組合の支援など公共の役割を求める必要があります。特に、所有権の処理は現行法では想定されていません。マンション居住者と一緒に、調査検討が必要です。
(文/工藤日出夫)
公営墓地の整備を要望
公営墓地(納骨堂)の整備について質問しました。厚生労働省の墓地経理管理の指針では、「市民が利用する墓地の設置については、地方公共団体が住民のニーズを十分検討した上で、主体的に行うことが望ましい」とあります。
しかし北本市は、公営墓地については、消極的です。
高齢化社会・人口減少による今後の展望や墓地供給の見込み、市民ニーズ等を踏まえ、事業効果や民業、地域の影響等を検証し、事業実施の必要性の検討を進めるとの答弁です。
お墓に対するニーズが増えるとともに、その形態も多様化しています。公営墓地(納骨堂)は、民間墓地に比べその運営に安定性があり、国も奨励しています。粘り強く要求していきます。
北本駅東口の駐車場がなくなる
駅東口の駐車場が使えなくなります。これまで送迎等に利用してきた市民に不便が生じます。
市は、現在の場所より北側に7台の駐車場を整備します。トイレもなくなります。ホテルを建設するためです。
一社が立地を希望し、市の審査会では了承されています。しかし、市民の共有財産である「公有地」です。民間の営利事業に貸し付けることに懸念を持っています。
駐車場で年間700万円の収入です。また、送迎の市民にとっても駐車場の要望は多くあります。ホテル事業で地域の活性化と言いますが、市民の利便性が優先です。
編集後記・雑感
桜も散り、初夏の季節になりました。
北本市議会は、5月16日平成29年第1回臨時会を開催し、任期後半の議会の構成を決めました。
議長、副議長、議会選出の監査委員、常任委員会の委員長など、主要な役職を決めました。三宮前議長の肝いりの「北本市議会基本条例」も可決し、市民に向き合い、執行部を監視する議会への条件が整いました。
さて工藤日出夫は、議員生活15年目で初めて福祉分野の「健康福祉常任委員会」へ所属します。包括ケアシステムの構築に挑戦します。日高英城は、これまでと同じ「建設経済常任委員会」です。都市基盤整備などまちづくりの基礎づくに挑戦します。
依然としてまちづくりの理念、戦略が見えない現在の北本市政ですが、人口減少だけに目を奪われるのでなく、安心・安全な市民生活が持続できる、機能的な都市へ成長させるよう、渾身の力で挑んでいきます。応援ください。
(文/工藤日出夫)