鴻巣 行田 北本の3市ごみ処理施設 建設協議「白紙解消」へ
鴻巣市長 建設地に執着!? 白紙は必然の結果 〜 事業費611億円 北本市負担 約5億円 20年間。建設場所含め見直し必至 !
ごみ処理新施設建設協議は、令和元年12月12日の正副管理者(3市の市長で構成)会議で、白紙解消することを決めました。
現在吉見で行っているごみ焼却は、新施設が稼働するまで続きます。ご安心ください。
白紙解消を受け、今後北本市は建設地含めた見直しは必須と思われます。
私工藤日出夫は、これまでの経過を踏まえると「白紙解消は必然で、想定の範囲内」と冷静に受け止めています。
鴻巣市長は建設地(鴻巣市安養寺)を絶対変えないというスタンスでした。
一方、行田市長や関心の高い市民は、選定された建設地が事業費高騰の原因と主張していました。
協議を破綻させたのは鴻巣市長です。
このままでは事業は進まないと懸念したでしょうし、何より建設地への変更圧力が今以上高まることに強い危機感を持ったことは推測できます。そのうえ、令和元年10月28日に議会に示した概算事業費約611億4,000万円は、予想を超える高額でした。
基本合意から6年半、その経過と背景を私の見解を含めて報告します。(文/工藤日出夫)
◆◆◆ 最後まで読んでください ! ◆◆◆
3市のごみ処理新施設建設事業は、4月の行田市長及び北本市長選挙の結果、新市長が誕生したことで状況が変わりだしました。
特に、石井直彦行田新市長は「建設費を安くする。そのためには行田市小針の建設地を活用すること」を公約にしました。また、組合議会の議員構成も行田市及び北本市議会選出の議員が新しくなりました。
私は、6月の臨時会で議長に就任し「3市の住民が多額の税金を負担し、長期間にわたって使う施設の建設は、議会の議決責任が問われます。活発な議論が公正に行われるよう議会運営します」とあいさつをしました。
石井行田市長 負担減らすと譲らず
石井市長は、5月に行われた正副管理者会議で「事業費を安くするため、行田市小針の建設地を検討するよう」発言したが、原口鴻巣市長は「建設地は鴻巣市で基本合意しているので変えない」と応じたが、石井市長も譲らず平行線のままに終わっています。
7月の組合議会定例議会の一般質問でも、「行田市小針を建設地に検討すべき」と議員が提案したが、進展は見られませんでした。
このような中10月28日、組合は議会から要求された概算事業費、611億4千万円を提示しました。北本市負担は年約5億円でした。
特に整備費の内訳で、軟弱地盤の土地改良費(土木工事費)が、45億円。地元対策費45億円と建設場所に起因する工事費が、多額になったことが、やっと明らかになりました。
予想を超える事業費に議員も市民も危機意識を強め、事業費の縮減に関心が集まりました。そして、11月に3市の市民約2,200名が「行田市小針建設地と鴻巣市の現建設地とで事業費を比較し、事業費安く安定的な建設を求める」請願を提出しました。
組合議会 2度解明のチャンス逃す
請願は、賛成6人、反対7人で「不採択」になりました。
鴻巣市長は、12月12日の正副管理者会議で「請願が不採択になったので、組合議会は建設地は鴻巣市で認めた」と発言しています。
組合議会では、ある議員が「建設地の選定に疑惑がある」と、「コンサルと事務局会議の音声、メールの記録等示し、調査委員会(100条)の設置」を提案しましたが、組合議会は否決しました。
組合議会は、100条委員会設置の否決と請願不採択で、建設地に関わる事業費積算の重要な問題を解明するチャンスを、2度見逃しています。
協議破綻の可能性を秘めて?
私は、5月に組合議員になり6月の臨時会で議長になりました。
北本市議会選出の前組合議員から引き継いだ議事録等の資料の読み込みと、2度の定例会を見て将来的に「協議破綻」の可能性が高いと感じていました。
管理者の原口鴻巣市長は、何としても鴻巣市安養寺の建設地を変えないという強い意志を感じていました。一方、費用を安くしたいという行田市長と軟弱地盤で建設費の高騰を危惧する一部議員は、建設地の変更も辞さない構えを崩していませんでした。
このような中で、11月20日に三宮北本市長が朝日新聞に「稼働時期より費用の見直し優先」などのコメント出しました。
原口鴻巣市長は、現状では令和6年稼働は難しい。「建設地の変更につながる可能性がある」と相当に強い危機感をもったと推測できます。
鴻巣市長は白紙解消を提案へ
12月12日臨時の正副管理者会議が行われました。
三宮市長は、鴻巣市安養寺の建設地で了とすると発言。それを受け、鴻巣市長は「北本市さんは鴻巣市の建設地に賛成した。行田市の対応が不明確である」と発言、そのうえで“白紙解消”を提案し3市は了解しました。(裏面に「正副管理者会議録」抜粋)
この6年間の協議の焦点は、鴻巣市安養寺に選定した建設地ありきの印象です。
北本市は次の展望を持たない中で、高額(約5億円20年間)な負担を、一度は受入れると判断したのか。
何より三宮市長は、11月21日の新聞報道で「拙速に進めない。稼働時期より費用の見直しが優先」と述べていながら、わずか2週間で何が起きて、急転直下したのか。その後三宮市長は、議会に白紙になったことは自分の発言含めすべてが白紙。今後は、あらゆる可能性を検討すると述べています。
私は白紙を機会に「迷惑施設から新しいビジネスモデルの構想」を示し、市内処理(建設場所を市内)に向けて市民の理解を得るべきと考えています。
新施設建設の検討から白紙解消までの経過
平成26年4月から始まった「鴻巣行田北本」の3市によるごみ処理新施設建設協議ですが、基本合意を白紙解消することになりました。ごみ処理施設建設のここまでの経過を以下にまとめました。
石津市長時代:新施設検討から基本合意迄
- 平成19年7月:北本・鴻巣・吉見の埼玉中部環境保全組合内に新施設建設を検討する埼玉中部環境保全組合施設整備検討委員会設置。
- その後、行田市、桶川市、東松山市及び小川町、嵐山町、滑川町、ときがわ町、東秩父村が参画最大11市町村。その後行田市退会。
- 検討を進めていく中で、鴻巣市から北本市、行田市、鴻巣市、吉見町の3市1町の枠組みを。吉見町から行田市を除いた10市町村の枠組み案が提案。いずれの案も合意が得られず。
- 平成24年8月:鴻巣市長から、新処理施設の整備への参画を断念する通知。新しい一部事務組合で進めることを確認。
- 平成24年9月:鴻巣市長から勉強会への誘い。議会代表者会議で協議。鴻巣市から建設地は鴻巣市地内、事業費は118億2,200万円が提示され、議会は鴻巣グループの勉強会への参加決定。
- 平成25年2月:勉強会等で検討の結果、新ごみ処理の広域化は北本市、鴻巣市、行田市の3市で行うことで合意。
- 平成26年4月:鴻巣行田北本環境資源組合スタート。
現王園市長時代:建設地選定から温浴施設検討迄
- 平成26年5月:新施設等検討委員会設置。
- 平成27年2月:建設候補地選定(鴻巣市郷地安養寺)
- 平成29年2月:新施設整備基本計画策定。
- 平成29年3月:建設候補地地盤調査実施・報告書発行。
- 平成30年3月:新ごみ処理施設建設事業者選定委員会設置。
- 平成30年5月:(臨時会)新ごみ処理施設建設候補地選定過程に対する調査に関する決議(地方自治法第100条に基づく調査)提出(否決)。建設地選定の疑惑解明遠のく。
- 平成30年6月:余熱(温浴)施設建設の検討開始
三宮市長時代:行田市長 事業費見直し提案から白紙迄
- 平成31年4月:統一地方選挙で行田市及び北本市長選挙で、石井直彦(行田市)、三宮幸雄(北本市)の新市長が当選。
<石井市長、行田市小針のごみ施設建設予定地に建設公約> - 令和元年6月:(臨時会)工藤日出夫議長に就任。
- 令和元年10月:新施設整備費概算費用611億円議会に説明。
- 令和元年11月:(臨時会)新施設建設特別委員会設置。
- 令和元年11月:(定例会)市民2,200名が「行田市小針と鴻巣安養寺の建設費を比較し検討し事業費を安くせよ」との請願提出されるが議会不採択。
◎本体建設費・運営費(20年間)の債務負担行為補正予算予算提出見送る。 - 令和元年11月20日:三宮北本市長 朝日新聞にコメント。(表面に)
- 令和元年12月10日:工藤日出夫の一般質問で「新聞報道」への質問に「正副管理者会議へ早い時期に費用の見直しを」と答弁。
- 令和元年12月12日:臨時正副管理者会議で白紙解消決める。
- 令和元年12月13日:三宮北本市長全員協議会で白紙解消説明。三宮市長は「白紙になったので、これまでの私の発言全部も白紙です。あらゆる可能性を探る」と説明。
臨時正副管理者会議録から
- 三宮市長「鴻巣とは一部事務組合など迷惑施設を分担。そういう意味で隣接している鴻巣市と進めて行く。私どもは土地を持っていない。地理的にどこへ行っても費用はかかる。土地についても瑕疵がないのでこの土地(安養寺)でよろしい」と、発言しました。(事業費見直しの発言は記録されていない)
- 行田市長「北本市は安養寺でいいのですね」と3回念を押す。
- 三宮市長「そうです」と回答。
- 鴻巣市長「北本市さんが賛成した。行田市の方向が解らない。一旦3市の協議は解消したい」と提案。白紙解消決議。
令和元年12月13日:鴻巣市議会の一般質問の答弁で「北本市長は鴻巣市でいいと。北本市と2市を中心に進めて行く」と鴻巣市長は答弁しています。
令和元年12月議会報告:市長提出議案 全議案可決
新駅用地取得の請願可決!! さてさて…? 〜 納骨堂整備は市長「調査する」と答弁
令和元年12月定例議会は、17日間の全日程を終え12月13日(金)閉会しました。
市長提出議案17件、請願3件の審議を終え、市長提出議案は全部可決、請願は2件採択、1件は不採択となりました。
一般質問は、9月議会に続いて19名、議長を除き全員でした。工藤日出夫は、12月10日に行いました。主なものを報告します。
南部地域整備に関する請願は、現在「物流拠点(倉庫業)」の整備が計画されている二つ家(下石戸6丁目)ゴルフ練習場跡地(開発用地)の一部を、新駅関連用地として取得することを求めています。
新駅整備については、現在総合計画に無く事業化の予定はありません。
自治基本条例で、「市長は、総合計画に基づいて市政運営をする」と規定されています。総合計画にない事業を執行することはできないので、用地の取得はできないと見て、趣旨採択の動議を出しました。
しかし議会は請願を採択しましたが、用地取得の可能性は少ないと見ています。
工藤日出夫の一般質問です。いわゆる迷惑施設と言われている納骨堂等の整備については、市長は「納骨堂整備の要望は迷惑とは考えていない。今後広域行政として検討実施する」と答弁。
工藤が再質問で「墓園団体の住民アンケートで、納骨堂は住居に隣接でもという回答が増えている。一度調査してください」との問いに、「前向きに検討する」と答弁しました。
来年度の機構改革で、新しく“市長公室”を設置する「部設置条例の一部改正」が提案されました。市長の政策を迅速に実施するためという理由でした。
わが会派の日高議員は、提案された市長公室は位置づけ(指示系統)が不明確で、組織が混乱する可能性がある。そのため、市長公室を市長政策室に修正するよう提案しましたが、議会は否決しました。市長公室で、組織が混乱しないことを祈っています。
桜国屋(農業ふれあいセンター)のリニューアルに伴い、産業振興情報発信館の運営に、530万円の委託料が予算化されました。国からの交付金6,300万円を受けた結果、農業とは直接関係しない事業(観光情報等の提供)で、今後後年度に負担が続きます。コスト意識がありません。
私は、後年度負担の在り方を再検討すべきと修正案を提出しましたが、否決されました。
市長は聖域なき行財政改革で、新たな財源創ると所信で述べています。しかしなぜ後年度負担が続く事業を認めたのか。毎年500万円が15年続けば7,500万円です。国の交付金6,300万円もらい、そのために15年で7,500万円自己財源使うなら、国の交付金もらわないほうがいい。
わが会派3人修正案に賛成したが15人反対し委託料は可決しました。