令和元年第3回定例議会(9月議会)9月24日全議案可決で閉会
平成30年度決算同意、いじめ防止条例可決
9月24日(火)令和元年第3回定例会(9月議会)が閉会しました。
今議会は、平成30年度一般会計及び特別会計、下水道公営企業会計の決算審議が主な議案でした。他に「いじめ防止条例」や補正予算など、市長提出議案全23件が可決しました。
平成30年度の決算は、以下の通りです。議会は、市民が納めた税金が法令に基づき、市民生活に適切に使われているかを慎重に審査した結果、法令等に反した支出はないことからから認定しました。
一般会計は、188億8,783万1,725円でした。平成29年度に比べ2億3,008万3,677円減となりました。歳入歳出差引額は、8億4,175万9,736円で、単年度収支額は1億6,956万1,349年となりました。
また、5特別会計を含めた決算総額は、316億8,119万8,865円となりました。
国民健康保険特別会計は71億9,725万2,507円で、保険者が市から県に移行された後、初めての決算で昨年度比12億9,020万412円の減となりました。
介護保険特別会計は、44億593万4,952円の昨年比2億1,389万2,521円の増でした。
市税減収の中、民生費増加行財政改革待ったなし
次に財源構成ですが、市税については、90億6,454万3,266円で昨年比1億3,086万8,656円の減でした。自己財源比率は55.7%で、依存財源の地方交付金や地方消費税交付金、国庫及び県支出金、市債で44.3%を上回りました。
本市の市税は、個人市民税38億279万504円と固定資産税38億3,397万466円で、この2税が中心です。
法人税は5億3,184万1,029円です。
歳出については、議会費2億2,582万9,131円(全歳出に占める割合:構成費1.2%)で、全歳出金額の4割を占めるのが、民生費79億4,996万5,859円(42.1%)です。高齢化と子育て、医療、生活保護など、社会保障制度への対応です。
また、教育費(10.9%)消防費(5.2%)やごみ処理費などの衛生費(7.4%)が、基盤整備の土木費(7.9%)です。公債費(11.9)で、本市の市債残高は約215億9千万円です。持続可能な財政へ、構造改革が必要です。
南部の基金5千万、ごみ処理基金3千万円…?
このほか条例が6件、教育委員等の人事議案2件、補正予算などが審議されました。すべての議案が可決しています。
条例の議案ですが、3月議会で前現王園市長が提案し否決された「北本市いじめ防止条例」は、否決の背景などを図り再提出され、賛成多数で可決しました。
また、南部地域の整備の基金条例ですが、その処分(使い道)を新駅及び圏央道周辺地域に、新しく南大通り線以南の整備に拡大する改正ですが、賛成多数で可決しました。
補正予算の「南部整備基金5千万円」、「ごみ処理新施設建設基金3千万円」なども可決しました。ごみ処置新施設建設は、いまだ全体の建設費が示されていませんが、基本計画に示された248億円は、建設資材と人件費の高騰で上回ることが予想されます。
市を挙げて北本高校存続へ
上の新聞記事は、平成30年5月1日の埼玉新聞です。
埼玉県教育委員会は、少子化の影響を受け、県立高校を統合整理するとしました。北本高校も現在一学年4クラスで、統合の対象校です。
今議会の一般質問で、市にある唯一の高等教育機関であるから、市を挙げて存続に動くよう市長に強く要望しました。
すでに飯能市や本庄児玉は2校が1校に再編されています。北本高校の存続に市民の理解を頂き、運動にご協力ください。
一般質問 : 市民の誰もが、どんな時でも、どんな病でも身近な病院で治療が受けられる医療環境の整備について市長に質問しました
北里メディカルと地域医療機関の連携強化を提案
今議会での一般質問での、質問・答弁の概略について以下に述べます。
質問(工藤):市民が安心して受けられる医療環境は、北里メディカルセンター病院の救急等の拡充と地域の医療機関との連携強化です。そのためには、市と北里が定期的に協議する場を整備する必要があると認識するが…?
答弁(市長)ご指摘の通りで、どのような形で協議ができるかなど先方の意向もあるが、努力してまいります。
質問(工藤):地域医療を守る条例の制定や市内の医療機関や団体等と意見交換が必要です。市民が安心して受けられる医療体制の拡充について、定期的に協議する場の整備が必要ではないか…?
答弁(市長)今後、市民その他関係団体との協力が必要で、本市の状況にあった体制の整備を検討してまいります。
質問(工藤):医療と介護(包括ケア)を総合的に推進する法律ができ、今後医療と介護は高齢化の中でますます重要な位置づけになります。市の内部体制の整備は必要で、医療行政経験者又は専門家が必要です。行政スタッフの充足は欠かせないと認識するが…?
答弁(市長)保健医療の分野の人材確保は必須であります。どこの自治体でも同様の状況ですが、なかなか思うように進んでいません。今後、保健医療行政に精通した人材の確保に努めます。
市長の答弁から、今後市の保健医療行政は、市民が安心できる医療体制の構築に向かうと期待できます。
安心できる地域の医療を
さて、北本市の医療の現状です。図1をご覧ください。
この図表は、他市と比べ北本市の強み弱みを知る指標で、一般的にスワット(SWOT)分析と言われるものです。
その中の、健康医療の分野で、北本市は医師の数と一般診療所の数が7市中1位,一般病床の数は3位でした。医師数と病床数が多いのは、市内に北里大学メディカルセンター病院(以下「北里メディカル」と表現)が開業されていることと思います。
一般診療所(医院・クリニック等)が多いことを合わせると、平日の昼間の医療環境は、他市に比べ比較的充足していると言えます。
このようなことから、北本市民が安心して医療にかかれるには、救急等高度な医療ができる北里メディカルと地域の診療所等が相互に連携し、相互に補完し合う仕組みの構築が求められます。
今回の質問は、このような背景をもって行いました。
救急(小児含)体制の拡充を
北里メディカルは、平成元年の開業で、30年が過ぎました。現在は、埼玉県が指定した、県中央2次医療圏(上尾市・桶川市・北本市・鴻巣市・伊奈町)の「地域医療支援病院」と位置づけられています。
急性期(救急等)医療、一般外来・入院機能及び高度な検査機能などへの対応とともに、地域の診療所等への支援と相互に医療連携を図り、医療環境の改善を図ることが目的です。
さて、現在の、北里メディカルの救急等の受入れ状況ですが、担当部長から以下の答弁がありました。
- 救急体制は、小児と一般の初期及び二次は4体制で、小児二次は北里メディカルと上尾中央病院。一般はこの2医療機関含め9医療機関が輪番制で実施。
- 北里メディカルは、平成27年に救急専門医が退職、その補充ができていないが、現在は経験ある医師を中心にチーム編成。救急医療に従事するとともに若手医師を育成中。昨年4月には、縮小していた小児も医師の補充で、入院治療もできる状況。
- 圏央道の開通受け、相模原の大学病院と医師の相互派遣を実施し安定的な確保に努めています。
北里を中核医療機関に
北里メディカルの救急の受入れは、開業時に比べると、平成30年ベースでみると減っています。(県央消防署の搬送先データ)
このことは、市民も経験されていると思います。これは国の医療制度(診療報酬等)の見直しと北里メディカル内の事情によるものと推察できます。
また、開業後30年が過ぎました。施設の老朽化の問題や今後高齢化と人口減少による医療需要の変化を考えると、存続し続けることが難しくなることも考えられます。
北本メディカルの存続問題は、私たち市民の健康と命を守り育むこと。また、地域の診療所等の医療環境の補完・連携にとっても、大変重要な課題です。
自分を守るかかりつけ医を
それだけに北里メディカルや市内の医療機関・団体との定期的な協議の場の整備は重要で、それへの対応について、市が定期的な協議の場の設定など、前向きにとらえたことは評価できます。
同時に、私たち市民(医療利用者)も医療に対して適切な理解と協力は欠かせません。
その一つが、地域の診療所等を「かかりつけ医」とし、同時に「かかりつけ薬局」を持つことです。健康や病気について、日頃から相談し、いざ!というとき頼りになります。
また、かかりつけ医や薬局を持つことで、重複診療や薬剤給付を減らし、結果として自分の健康を守ることになります。
地域の医療を守り、充実させるには、市民の「理解と協力」は不可欠です。