新・北本創生へのイノベーションを探る連載(1回目)
少子・高齢化と人口減少の「ふたごの事実」から目をそらすな
私は3年半前の選挙の時「北本市が危ない」とレポートを出しました。人口減少・超高齢化そして借金財政を指摘しました。市長は代りましたが、この問題は続いています。
事実を率直に受止め、根拠ない「盲信」から現実を確認した改善策(イノベーション)が必要です。
私たちが住む北本市は、ここ10年間地域社会の変化に伴う「双子の課題」に直面しています。
その双子の課題とは、「少子・高齢化」と「人口減少」です。この現象が、双子のように同時
進行していることが、市政運営に様々な課題を投げかけています。
しかし、この課題に的確に対応する具体的・効果的な政策を示せず、今日に至っています。これらの事実を踏まえ、今後の北本創生をご一緒に考えて行きませんか。
減り続ける人口に打開策は
まず下表1です。北本市の人口動態(推計)ですが、平成21年住民基本台帳で70,278人、5年後の平成26年68,400人ですが、平成31年の推計では65,201人と10年間で約5,000人減少すると予測しています。
さらに平成36年62,367人、平成41年58,916人、平成46年52,698人と人口は減り続けると推計しています。
こういう中で、日本創生会議は平成26年に30年後に消滅可能性都市となる市町村を発表し、北本市もその中にあり大きな話題になりました。
本市は少子化も進んでいます。特殊出生率も平成26年1.02で県平均1.31を下回っています。また高齢化率は平成26年27.0%で県平均24.8%(平成27年)を上回っています。
少子化と高齢化と共に、人口の自然減(出生数より死亡数が多い)と社会減(転入者数より転出者数が多い)が同時に10年間続いています。
人口動態の構造的な改革を
自然減と社会減の同時進行は、本市の人口減少が構造的に起きていることになります。しかし、これが直ちに消滅都市になるということではありませんが、適切に対応しなければ自治体としての自立性に問題は残ります。
市は、第五次総合振興計画基本構想で、将来人口目標を平成32年66,000人、平成37年63,000人と設定しました。しかし市はこの数字を確保するのは難しいと述べています。
全国的に進んでいる人口減少を、どのように受け止め、そのことで起きる種々の問題について適切かつ的確に対応することが必要になります。
財政イノベーションは必要不可避
双子の課題がもたらす影響について考察してみました。先ずは、市の財政への影響です。市は本年4月、今後10年間の「財政計画」を公表しました。表2は、市税収入の推計です。
平成29年度約93億円の市税収入が、10年後の平成38年度は約75億円と、18億円減収します。
高齢化と人口減少が主たる理由ですが、法人市民税の約半分を占める自動車製造企業が、部分撤退し法人税が約3億円減収したことが大きく影響しています。
本市は、平成24年の菓子製造業の進出以降の企業進出はなく、企業誘致が大きな課題になっています。今年度企業誘致担当を新設し、企業誘致に取り組んでいますが、まとまった用地の問題もあり、圏央道開通の利点を生かし切れていません。
歳入確保に課題を残したままです。
進む財政の硬直化
表3は、公債費(借金返済)の推移です。
学校の耐震化と大規模工事で、平成34年度まで約22億円を超える高水準です。
表3は、市債残高であるが、大型事業を行わないという前提での推計であり、久保区画整理事業やゴミ処理施設、都市計画道路の着手、公共施設(下水道等)の改修などにより、高水準になる可能性は残されています。
平成29年度決算で義務的経費(人件費、扶助費、公債費)比率は、53.1%で平成28年度51.1%より上昇しています。全国平均は49.6%です。
また、経常収支比率は、93.5%と柔軟性を判断する指標80%を上回り、硬直化しています。
盲信を避け確実な選択と集中
このように歳入の基幹税である市税減収の中で、今後の歳出圧力は高齢化による医療・介護と少子化対策・子育て支援など福祉政策の拡充が挙げられます。
それに、既存施設(ライフライン等)の老朽化への対応及びごみ処分施設の新設、下水道の整備と共に、久保区画整理事業とさらなる市民負担が増えることが考えられます。
市は、財政事情は極めて厳しく、予断が許されないと言っています。もっとも、地方の財政は市税等の自己財源が不足すると、国は地方交付税で補填します。しかし近年、国の財政も厳しい状況にあり、自己財源の確保と歳出の最適化は避けられません。
さて、この状況で北本市が財政破綻するとか、消滅都市になることは考えにくいいですが、自立(自律)力が硬直化する可能性は残されています。それだけに、適切・的確な対応が可能な政策が求めれます。次号で述べます。